日本茶と秋の味覚

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「秋」と言ったら、皆さんは何を連想されますか?
読書の秋、運動の秋、食欲の秋…。
秋は一年を通して最も過ごしやすく、活動しやすい季節だと思います。朝晩の気温差が小さいのも特徴のひとつです。日中のからっと晴れた日差しの中で紅葉を眺めながらのティーブレイクは格別です。そこに古本とおいしいペアリングスイーツがあったら、申し分ありません。

私は花より団子派なので、「秋」と聞いてすぐに浮かんでくるのは“食欲の秋”です。
この季節は果物や野菜に加え、山や海の恵みも豊かに実り、食卓がいっそう彩り豊かになります。そんな秋のごちそうに合わせて特に飲みたくなるのが“和紅茶”です。
花を連想させるやさしい香りや、柑橘を思わせるすっきりとした香り、まろやかな渋みを持つ和紅茶は、秋の味覚と合わせることでうまみの相乗効果となり、食後の余韻までゆったり楽しめます。

果実のペアリング

■梨■
おすすめのペアリングは、太田重喜製茶工場さんの「うれしの紅茶」です。
秋を代表するフルーツの梨は、みずみずしい甘さとさっぱりとした口当たりが特徴で、軽やかでアッサムを思わせる「うれしの紅茶」とよく調和します。梨の繊細な甘みとうれしの紅茶の余韻のあるコク深い味わいが、後味をすっきりと整えてくれます。

太田重喜製茶工場さん
「うれしの紅茶」
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■柿■
ペアリングは、雪星園さんの「みねかおり夏摘み(番茶)2024」
「みねかおり」の黒豆や穀物を思わせるふくよかな香りと、奥行きのあるやわらかな甘みが特徴です。口に含むと、ほんのりと香ばしい香りが立ち上がり、時間の経過とともにまろやかさが増していきます。そのおだやかな風味が、柿の濃厚でどっしりとした甘さと重なり合い、まるで秋の陽だまりのようなあたたかさを感じさせてくれます。

雪星園さん
「みねかおり 夏摘み(番茶)2024」
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■ブドウ■
ペアリングは、末吉製茶工房さんの「優しい甘さの和紅茶」です。
その名の通り、やわらかな甘さと繊細でフルーティーな果実香を備えた和紅茶でブドウとの相性は抜群です。特にすっきりとした香りとブドウの甘いジャスミンのような香りが溶け合い、鼻に抜ける余韻が長く続きます。
酸味と甘みのバランスが絶妙なブドウは、ホットティーにして合わせるのもおすすめです。

末吉製茶工房さん
「優しい甘さの和紅茶」
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スイーツの相性

秋のスイーツと和紅茶の組み合わせは、まさに幸せのひとときです。

栗の渋皮煮やモンブランのようなクリーミーなスイーツには、健一自然農園さんの「初つみ和紅茶」がぴったり。
渋みが少なく、野花を思わせる穏やかな香りがよく合い、重たさを感じさせず最後までおいしくいただけます。

さつまいものスイートポテトや芋ようかんも相性抜群。ほくほくとして蜜を感じさせる自然な甘みは、西製茶所さんの「べにふうき」と好相性です。

「かぼちゃプリン」や「パンプキンタルト」のような濃厚なスイーツには、少し濃いめに淹れた、ささら屋さんの「焙じ和紅茶あかり」がおすすめです。焙じの香ばしくすっきりとした味わいが、秋の濃厚な甘さと絶妙に調和します。淹れたてでいただくのはもちろん、少し冷めても甘さに奥行きが生まれ、上品な後味を楽しめます。

食事のペアリング

日本茶はデザートだけでなく、普段の食事にもよく合います。
きのこご飯や秋刀魚の塩焼きといった和食に合わせれば、脂や香ばしさをやさしく洗い流し、何度も初めの一口のような味わいを楽しむことができます。炊き込みご飯や焼き魚の香ばしさに、和紅茶の香りが寄り添い、食事をぐっと引き立てます。

また洋風の料理とも好相性です。きのこのクリームパスタやグラタンのような濃厚な料理にストレートの和紅茶を合わせると、重たさを感じさせず、最後まで心地よく味わえます。

おわりに

秋は空が少し遠く感じられ、ひんやりとした空気が心地よく、最寄り駅より三つ前で降りて静かな夜道を歩きたくなります。澄んだ空気とともに心までも洗われるようで、普段見ている景色がいっそう美しく、クリアに感じられます。そして同じくらい食べ物がおいしく感じられる季節でもあります。

お気に入りの飲み物を片手に秋の味覚を楽しみながら、ゆったりと過ごす時間は何にも代え難いひとときです。
今秋は栗やさつまいもを味わいながら、一杯の和紅茶を楽しんでみてください。やさしい香りとともに、心まで豊かに満たされる時間を過ごせます。

お気に入りの一杯とともに、儚い秋をお楽しみください。

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