蜂蜜紅茶

はちみつ紅茶ってどんな色?
小さいころのこと。
家にあった蜂蜜を紅茶に入れたら、紅茶が真っ黒になってしまい、驚いて母に泣きついたことがあります。
飲んでも大丈夫とは言われたものの、きれいな紅茶の赤褐色が一気に真っ黒に染まるのはとてもショックで、とんでもない失敗をした気分になりました。
紅茶の色が変わった原因は、蜂蜜に含まれる鉄分。
鉄分が紅茶に含まれるタンニンと結合して、「タンニン鉄」が生成されたためです。
タンニン鉄は身体に害はない物質ですが、紅茶と蜂蜜が溶け合うことで、紅茶が全体的に黒く濁ってしまいます。
当時は化学反応なんてよくわかっていなかったので、まるで紅茶に呪いがかかったかのような衝撃でした。
結局コーヒーよりも暗い黒色が怖くて、ミルクティーにしてごまかして飲んだような記憶があります。
さて、時は流れて現在。
娘と紅茶を飲むときに「はちみつを入れて甘くしたい」と言われたので、あの衝撃を娘に見せたらどんな反応をするかな…と、ちょっとしたいたずら心が湧いてしまいました。
「今からすごいことが起きるよ」と言って、反応を楽しみにしながら蜂蜜を入れたのですが…
(あれ、紅茶が黒くならない?!)
そう、まさかの色がまったく変わらなかったのです。
何が起こるかとわくわくする娘と、こっそり動揺する母…
結局、とってもおいしい蜂蜜紅茶と、こっそり食べる予定だったお高めのお菓子を出して豪華なティータイムをしてその場を切り抜け、娘も大満足だったのですが…残る大きな疑問。
「蜂蜜を入れても黒くならない」のはなぜなのか。
実家の母に聞いたところ、当時よく使っていたのは今でもスーパーでよく見かけるお花のマークの「レンゲ蜂蜜」。
一方、現在自宅で愛用しているのは某大型スーパーで売っている海外産の瓶入り「アカシア蜂蜜」。
レンゲ蜜は淡黄色~琥珀色の国産の蜂蜜を代表する品種で、酸味のある甘さが特徴の蜂蜜。
対してアカシア蜜は色が薄めの黄色~黄金色、海外産でよく見かける品種でクセの少ない蜂蜜と言われています。
どちらも蜂蜜ではポピュラーな品種で、特に普段の生活で食べていても気になるほどの大きな違いはないように感じていました。
なのに、紅茶に入れるとこんなに違いが出るのはなぜなのか。
ポイントになるのは「レンゲ蜜よりアカシア蜜の方が、色が薄い」というところ。
実は、蜂蜜は含まれる鉄分の量が多いほど色が濃くなるのです。
色が濃い、鉄分が多い蜂蜜の代表格はそば、栗など。
栗の蜂蜜は鉄分量が他の蜂蜜より飛びぬけて多く、黒褐色に近い色をしています。
つまり、アカシア蜜はレンゲ蜜よりも鉄分の量が少なく、紅茶に入れてもタンニン鉄が生成される量が少ないため、黒く変色しなかった、というのが今回の真相でした。
原因がわかってすっきりしました!
基本の蜂蜜紅茶のレシピ
蜂蜜と紅茶を一緒に摂れる「蜂蜜紅茶」は寒い時期におすすめです。
蜂蜜はもともと高い栄養価と殺菌・抗菌作用が認められ、広く生活に取り入れられてきた食品。
蜂蜜に含まれる「グルコースオキシターゼ」には菌の殺菌、繁殖を防ぐ効果があり、のどの炎症がつらいときは蜂蜜を摂ると良いと言われています。
甘味度が高く、砂糖の半分~3分の1程度の量で同じ甘さが出るのに、カロリーやGI値が低いので糖尿病や肥満症の予防も期待できる、健康を気にする方にも安心の甘味料です。
また、紅茶の色素「テアフラビン」には、全インフルエンザウイルスの感染力を無効化する効果が近年の研究で確認されていて、冬の時期の感染対策にも効果的と注目されています。
【作り方】1人分
- 茶葉…2~3g(ティーバッグなら1個)
- 熱湯…200ml
- 蜂蜜…大さじ1
- 温めたポットに茶葉を入れ、熱湯を注ぎフタをして蒸らす。
ティーバッグならカップに入れて熱湯を注いで蒸らす。
※蒸らし時間は茶葉のおすすめ蒸らし時間を参照にしてください。 - 茶葉を取り出し、蜂蜜を溶かし入れて1分ほど待つ。
- カップに注いでお好みの温度になったら出来上がり。
蜂蜜を入れたいけど、紅茶の色が変わるのに抵抗があるという方も少なからずいらっしゃるはず。
メーカーや産地によって同じ花の品種でも成分に差異はありますが、色が薄い蜂蜜ほど紅茶の変色は起こりにくいので、アカシア蜜に限らず、色の薄い蜂蜜を選ぶといいそうです。
なお、筆者はどうしても娘を驚かせたいので、違う蜂蜜を買ってリベンジしようと目論んでいます。
果たして娘は期待通りの反応をしてくれるのか…?
いつか、良い結果をみなさまにご報告できればと願いつつ、このコラムの締めくくりとさせていただきます。