時間と共に楽しむ和紅茶

今回は、「時間と共に楽しむ和紅茶」をテーマに、それぞれの時間帯にぴったりな和紅茶をご紹介していきます。
朝のスタートから始まり、ランチタイム、気分を切り替えたい午後、就業間際の集中力が途切れる前のひとときに楽しみたい一杯もご紹介します。
そのときどきの気分やコンディションに合わせて、「今飲みたいお茶」は自然と変わってくるものです。
「この時間にこの和紅茶を飲むと、どんなふうに身体に作用するのか」
「気持ちがどう整っていくのか」
そんな視点も交えながら、私が日々感じていることをもとに、その魅力を詳しくお伝えしていきたいと思います。
どれも、忙しい日常のなかでふと立ち止まりたくなるような瞬間に、やさしく寄り添ってくれるお茶ばかりです。
自分のリズムに合った“ちょうどいい時間”に取り入れて、ぜひ試してみてくださいね。
10:00 朝に飲みたい紅茶

出社して最初に飲みたくなるのは、
太田重喜製茶工場さんの『レモングラス紅茶』
まだ眠気がほんのりと残る静かな午前。
パソコンの電源を入れ、メールを開くその合間に、そっとポットにお湯を注ぐ。
湯気とともに立ちのぼる、グリニッシュなレモングラスの香り。
その澄んだ香りが、まるで朝の空気のように心と体を満たしてくれます。
一口、やわらかくすすれば、その香りはいっそう鮮やかに広がり、
やさしく背筋を正してくれるよう。
私はいつも、その瞬間に“仕事モード”のスイッチが静かに入るのを感じます。
飲み終えたあとの余韻も軽やかで、気持ちの切り替えが自然にできる――そんな理想的な朝の一杯です。
たとえ慌ただしい朝でも、このお茶がそばにあるだけで、少しだけ呼吸が深くなって、
今日という一日が、やわらかく始まる気がするのです。
13:00 お昼と共に飲みたい紅茶

お昼どき、自然と手が伸びたのは、
豊好園さんの『さえあかり』でした。
この日のランチは、生姜焼きをいただいていて――
一口ふくんだ瞬間、思わず「美味しい」と小さくつぶやいてしまうほど『さえあかり』との相性に驚かされました。
お肉のしっかりとした旨みに、木の実を思わせるまろやかな甘さと芳醇な香りがふんわりと重なり、口のなかにやさしくも豊かな余韻を残してくれます。
何も言わずとも寄り添える間柄のように、
自然と調和し合う味わいでした。
お互いの魅力をそっと引き立て合っていて、まるで呼吸を合わせるような関係でした。
お昼ごはんに寄り添う和紅茶は、軽やかすぎず、けれど重たすぎない――
その相性の良さが、午後の時間をそっと整えてくれます。
食後にふと訪れる、あのうとうとした眠気も、『さえあかり』と過ごせば、すっと和らいでいきます。
16:00 息抜きに飲みたい紅茶

午後4時。
陽ざしが少しだけやわらぎ、ふと肩の力を抜きたくなるこの時間。
甘いものに心が傾くころ、私がそっと選ぶのは、
茶通亭さんの『パッションリゾート和紅茶フレーバー』です。
湯気とともに立ちのぼるのは、南国の果実を思わせる華やかな香り。
一緒にバターのきいた焼き菓子をつまめば、その調和に思わず頬がゆるみ、手を止めることすら忘れてしまいます。
甘やかな香りに、濃厚な味わいを想像していましたが、実際は驚くほど透明感のある後味でした。
そのギャップが、むしろ深い印象を残してくれます。その香りに包まれていると、頭のなかが静かに整っていき、気持ちもふわりと軽くなる。
再び集中したい午後の時間に、そっと寄り添ってくれる、そんな一杯です。
18:00 もうひと頑張りしたい時に飲む紅茶

あと少し、もうひと頑張り。そんな夕方に選ぶ紅茶は、
吉田茶園さんの『ふくみどり』です。
『ふくみどり』は、シナモンのようなやさしい甘さと、黒糖を思わせるコクが特徴の和紅茶。
集中力が途切れそうになるこの時間帯でも、その香りに癒やされながら、ラストスパートを乗り越える力をもらえます。
デスクにそっと置いておきたくなるような一杯。
やさしい香りに背中を押されながら、もうひと息、頑張ることができます。
日常にティータイムを
時間に追われがちな毎日でも、和紅茶を一杯いれる時間をとるだけで、心にそっと余白が生まれるのを感じます。
気分や体調に合わせてお茶を選ぶことは、今日の自分をいたわる、静かな対話のようなもの。
和紅茶は、そんな時間にやさしく寄り添い、整えすぎないままの心に、そっと落ち着きをくれます。
忙しさのなかで、あえて立ち止まってみる。その小さな選択が、自分自身を深く呼び戻してくれるのかもしれません。
どうぞ、ご自身のタイミングで、お気に入りの和紅茶をいれてみてください。