水色(すいしょく)の魅力に迫る

暦の上では秋を迎えましたが、猛暑が続き、皆さまお疲れのことと存じます。
秋の気配が感じられる日が待ち遠しいですね。
今回は、秋の気配とも重なるような、やさしく彩る「水色(すいしょく)」の魅力に迫ってみたいと思います。
私なりの解釈を交えながら綴ってまいりますので、よろしければ最後までお付き合いください。
紅茶品種
べにふうき/西製茶所

西製茶所さんの「べにふうき」は、まるでバラの花びらが溶け出したかのような、情熱的な紅色が魅力です。ワイングラスに注いで空にかざすと、夜空の星をひとつ閉じ込めたようにきらめきます。その華やかな水色は、視覚からも豊かな香りと奥深い味わいを感じさせてくれます。
ウーロン紅茶/堀口製茶

堀口製茶さんのウーロン紅茶は、独自の製法による75%の発酵によって作られているため、一般的な紅茶とは一味違う、オレンジと黄色の間のような美しい琥珀色をしています。口に含むと、優しい香ばしさと花のような香りが広がり、思わず「おいしい」と声が漏れてしまうほどです。
うれしの紅茶/太田重喜製茶工場

少し渋めに淹れてしまったかな?と思ったのですが、飲んでみると驚くほど爽やかで、思わず笑顔になりました。この意外な味わいのギャップが、うれしの紅茶の大きな魅力です。冷めるにつれて甘みが増し、つい夢中で飲み干してしまいます。水色は、まるで夕日が沈んだあとの海のような、深みのあるやわらかなオレンジ色です。
緑茶品種
さやまかおり/雪星園

雪星園の「さやまかおり」は、赤みを帯びた銀朱色(ぎんしゅいろ)を呈し、まるで陽の光をそのまま映したような輝きがあります。見た目は甘さを思わせますが、実際には草餅を思い起こさせる爽やかさが広がり、その味わいの意外性が印象に残ります。色と香味のギャップを楽しめる、上品な一杯です。
やぶきた実生1st2023グリニッシュ(ロット1)/吉田茶園

水色は、赤みがほんのり差した淡い黄燈色、「こきくちなし」を思わせる優しい色合いです。
吉田茶園さんの「やぶきた」は、渋みが少なく、まろやかでやわらかな味わいが特長。緑茶らしい花の香りと、柑橘を思わせる爽やかな風味が広がり、清涼感とまろやかさを併せ持つ一杯です。水出しにも適しており、暑い季節にぴったりの和紅茶です。
吉田茶園さん
「やぶきた実生1st2023グリニッシュ(ロット1)」
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さえあかり/豊好園

さえあかりは、心を落ち着かせる山吹の花のような、鮮やかな赤みを帯びた黄色の水色を
しています。水色からは果実の蜜のような甘さを感じますが、その味わいは、故郷の山を
思い出させるような木の実のような甘さと芳醇さが特徴です。
一度飲めば忘れられない、奥深い美味しさが詰まっています。
フレーバーティー
アールグレイ/西製茶所

水色は、柑橘の皮を煮溶かしたような蜜柑色(みかんいろ)をしています。
香ばしく、はちみつのような甘い香りを連想させますが、味わいはさっぱりとしていて、ベルガモットピールと紅茶の豊かな香りが広がります。
西製茶所さんのアールグレイは、香料を一切使用していません。ベルガモットピールと紅茶だけをブレンドしたフレーバーティーだからこそ、封を開けた瞬間にふわっと香るアールグレイの香りも、ぜひお楽しみいただきたいです。
フレーバーグリーンティー(大隅ゆず)/堀口製茶

水色は、陽だまりのような温かさを感じさせる金糸雀色(かなりあいろ)。
蒸し茶のやわらかな苦味に、柚子の皮のほのかな渋みが溶け合い、口に含んだ瞬間、静かに広がるやすらぎを感じます。一杯で気持ちがほどけるような、やさしい余韻のあるお茶です。
堀口製茶さん
「フレーバーグリーンティー(大隅ゆず)」
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しょうが和紅茶/健一自然農園

健一自然農園さんのしょうが和紅茶は、蜜柑と柿が溶け合ったような、澄みきった赤橙(あかだいだい)色。
フルーティーな甘さを想像しながら口にすると、すっきりとした香りとともに、生姜のやわらかな風味がふわりと鼻を抜け、静かに心がほぐれていくようです。思考をリセットしたい時にそっと寄り添ってくれるお茶です。
編集後記
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回、私が愛してやまない「水色」の魅力を皆様にご紹介できたことを、心から嬉しく思います。
和紅茶は品種によって赤色とは限らず、水色から想像する香りや味わいが予想と異なることがあります。そんな意外性もまた、和紅茶の大きな魅力です。
水色は二つとして同じものがなく、それぞれの個性を持った唯一無二の存在と言えるでしょう。
今回の記事は、Instagramの方で3部構成にてフィードに投稿していますので、もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひそちらもご覧ください。
